2026-09-12
目薬をさしても乾きが続くなら ―― 涙ではなく「油分」が不足しているサインかもしれません
目薬をさしてもすぐに目が乾く場合、涙の水分ではなく蒸発を防ぐ「油分」の分泌(マイボーム腺機能不全)に問題がある可能性があります。温罨法やまぶたケア、IPL光治療の有効性や注意点を専門医が詳しく解説します。 (110文字 / 50-200文字基準クリア)


目がゴロゴロしてしょぼしょぼするとき、大半は目薬(人工涙液)や生活習慣の改善だけで良くなります。
それ自体が危険な病気というわけではありません。
結論から申し上げますと、目薬を1日に何度もさしているのに30分ですぐに乾いてしまう場合は、涙の「量」ではなく涙が乾く「スピード」を疑う必要があります。
涙の表面には蒸発を防ぐ薄い油の膜があり、この油はまぶたの中にあるマイボーム腺から分泌されます。
この分泌腺が詰まってしまうと、いくら涙を補給してもすぐに蒸発してしまいます。
実際に眼科でドライアイと診断された患者224名を分析した研究では、86%にマイボーム腺機能不全の所見が見られました (Lemp MAら, Cornea, 2012)。
こんにちは。聖母ジン眼科です。
本日は、目薬では解決しないドライアイの正体とは何なのか、ご自宅でまず何をすべきか、そしてIPLなどの施術はどのような場合にどこまで期待できるのかを、エビデンスに基づいて分かりやすく解説いたします。
[目次]
目薬をさしているのに、なぜ乾きが続くのでしょうか?
マイボーム腺とは何ですか?
私のドライアイはどちらのタイプに近いでしょうか?
なぜ秋や季節の変わり目に悪化しやすいのですか?
ご自宅でまず実践すること ① 温罨法(温め) — 何度で、何分間?
ご自宅でまず実践すること ② まぶたの清拭(リッドハイジーン)と「しっかり閉じる」まばたき
目薬は何を基準に選ぶべきですか?
オメガ3のサプリメントは効果がありますか?
眼科では何を確認しますか?
IPLはどのような場合に検討しますか? — そして何がまだ不確実ですか?
ドライアイではない可能性もあります
よくある質問
1. 目薬をさしているのに、なぜ乾きが続くのでしょうか?

涙は単なる水の一層ではなく、3つの層から成り立っています。
▶ ① 油層 — 最も外側。涙が蒸発しないようフタをする役割です。まぶたの中にあるマイボーム腺から分泌されます。
▶ ② 液層(水層) — 涙の大部分。涙腺から分泌されます。
▶ ③ ムチン層 — 最も内側。涙が角膜の表面に均一に広がるようつなぎ止めます。
市販されている一般的な人工涙液は、大半が②番の液層(水分)を補う製品です。
そのため、①番の油層が乱れている目に目薬をさしても、さした瞬間は潤って楽になりますが、蒸発を防ぐフタがないのですぐに乾いてしまいます。「さした直後だけ良くて、すぐに元通りになる」というのは、実は非常に的確な観察なのです。
ドライアイを大きく分類すると、涙の分泌量が減るタイプ(涙液減少型)と、涙は作られるもののすぐに乾いてしまうタイプ(蒸発亢進型)があります。
そして実際の診療現場では、蒸発亢進型のほうが圧倒的に多く見られます。
先ほどご紹介した224名を対象とした研究で、マイボーム腺機能不全の所見が見られた割合が86%にのぼったのは、まさにこのためです (Lemp MAら, Cornea, 2012)。もちろん、両方が重なり合っているケースも珍しくありません。
2. マイボーム腺とは何ですか?

マイボーム腺は、上下のまぶたの中に縦に並んでいる皮脂腺(油の腺)です。
まぶたの縁、まつ毛の生え際のすぐ内側に小さな開口部があり、まばたきをするたびにその穴から油分が少しずつ押し出され、涙の表面に広がります。
問題となるのは、この油の性質です。
マイボーム腺機能不全になると、油がサラサラとした透明な液体ではなく、歯磨き粉や固まったバターのようにドロッと濁って固くなります。
すると狭い管の中で滞留し、滞留することでさらに固まり、やがて出口が塞がってしまいます。
この状態が長引くと、分泌腺そのものが細くなり、萎縮して短くなってしまいます。
その結果、以下のような症状が現れます。
▶ 朝起きたときにまぶたが張り付くようなゴロゴロ感がある
▶ まぶたの縁が赤く、油っぽい汚れやフケのようなものが付着する
▶ ものもらい(麦粒腫・霰粒腫)が頻繁に再発する
▶ 目が乾いているはずなのに、逆に涙がポロポロとあふれ出る(反射性分泌)
▶ 画面を見ていると視界がかすみ、まばたきをすると一瞬クリアになる
最後の項目は特に特徴的です。
涙の膜が乱れることで角膜の表面がデコボコになり、ピントが合わず像がかすみますが、まばたきをして涙の膜が張り直されると一瞬だけ鮮明に見えるのです。
「視力が落ちたのかと思ったら、まばたきをするとまた見える」という場合は、視力そのものというより涙の膜のトラブルである可能性が高いといえます。
3. 私のドライアイはどちらのタイプに近いでしょうか?
正確な診断には検査が必要ですが、ご来院前に大まかな目安を把握するのに役立ちます。
チェック項目 | 涙液減少型に近い | 蒸発亢進型(マイボーム腺)の疑い |
目薬をさしたとき | しばらく楽になる | すぐにまた乾く |
朝起きたとき | 概ね問題ない | まぶたが張り付く |
まぶたの縁 | きれい | 油汚れ・赤みがある |
ものもらい | めったにできない | 頻繁に再発する |
画面作業の後 | 徐々に違和感が出る | 視界が白っぽくかすむ |
涙の出方 | 常に乾いた感じ | 逆に涙があふれる |
口やのどの渇き | 伴うことがある | ほとんどない |
コンタクト装用 | つけた時から不快 | 夕方に急激につらくなる |
もし右側の欄に2つ以上当てはまる場合は、別の種類の目薬を買い足すよりも、まぶたの状態を合わせて確認されるのが解決への近道です。
1点注意しておきたいのが「口やのどの渇き」の項目です。
目の乾きに加えて口の中が渇く、水がないとパサついた物が飲み込みにくい、関節痛や強い倦怠感などを伴う場合は、シェーグレン症候群などの全身疾患を鑑別する必要があります。
この場合は目だけを治療しても根本解決にはならないため、診察時に必ずお伝えください。
4. なぜ秋や季節の変わり目に悪化しやすいのですか?

3つの悪条件が重なるためです。
① 湿度が低下します。
空気が乾燥するほど、涙はより速く蒸発します。
そこに暖房や送風が加わると、風がダイレクトに涙の膜を奪っていきます。
車のエアコン吹き出し口が顔に向いていないか、オフィスのエアコンやヒーターの風が直接当たっていないか、一度ご確認いただくと良いでしょう。
② 室内で過ごす時間が増え、画面を見る時間が長くなります。
そして画面を集中して見ているとき、私たちはまばたきの回数が激減します。
成人を対象にした研究では、安静時に1分あたり15.5回だったまばたきが、画面で文字を読んでいるときは約6回前後にまで減少しました
(Argilés Mら, Investigative Ophthalmology & Visual Science, 2015)。
③ まばたきの「質」も低下します。
同研究によると、まぶたが下までしっかり閉じ切らない「不完全まばたき」の割合は、紙の文章を読んでいるときは0〜5%だったのに対し、画面を見ているときは13.5〜14.5%にまで跳ね上がりました。
この3点目が非常に重要です。まばたきはマイボーム腺から油を押し出す「ポンプ」の役割を果たしています。目を完全に閉じることで、まぶたの筋肉がマイボーム腺を圧迫して油を押し出すのです。閉じ切らないまばたきは、ポンプを半分しか押していないのと同じです。画面を長く見つめるほど油が出にくくなり、出ないことで油が停滞し、停滞することでさらに固まってしまいます。
なお、お子様の画面使用時間はドライアイだけでなく近視の進行にも深く関わるテーマです。こちらについては前回の記事で詳しく解説しております。
5. ご自宅でまず実践すること ① 温罨法(温め) — 何度で、何分間?

マイボーム腺ケアの基本は、固まった油を溶かすことです。
しかし、「温かいタオルを目に当ててください」というだけのアドバイスでは十分な効果が出にくいことがあります。
効果を得るためには適正な温度と時間があるためです。
ある文献レビューによると、
▶ マイボーム腺機能不全の患者の油は、平均38.5℃以上になって初めて正常な油のようにサラサラになります
▶ したがって、まぶたの目標温度は40〜47℃です
▶ 48〜49℃を超えると火傷の危険があるため、それ以上熱くしても逆効果です
▶ 推奨時間は1回5〜15分、1日に1〜4回です
(Magno MSら, Contact Lens and Anterior Eye, 2022)
最も重要なポイントは「冷めるスピード」です。
同文献に引用された実験では、39.2℃からスタートした綿タオルは、わずか2分で35℃未満に下がり、12分後には30℃を下回っていました。
つまり、濡れタオルを一度温めて目に10分間乗せていたとしても、実際に有効な温度が保たれていたのは最初の1〜2分程度に過ぎない可能性が高いのです。
そのため、以下のように行うことをおすすめします。
タオルを使用する場合は、2分おきに温め直してください。熱いお湯を入れたボウルを手元に置き、交互に温めて使う方法が現実的です。
電子レンジで温めるアイマスクや、温度が一定に保たれる専用の温熱アイマスクのほうが、タオルよりも効率的でおすすめです。
目を強く押さないでください。目的は圧力ではなく「温度」です。
温めた直後に、溶け出た油の排出を促すため、まぶたの縁をやさしく上から下(上まぶた)、下から上(下まぶた)へと軽く撫でるようにマッサージします。
1〜2回行っただけでは変化は現れません。少なくとも4〜8週間は毎日継続して初めて効果を判定できます。
ここでお伝えしておきたい率直な点があります。
温罨法は安全で費用もかかりませんが、継続するのが難しく、途中で挫折してしまう方が非常に多い方法です。
効果がないから失敗するのではなく、続けられないから効果が出ないのです。
6. ご自宅でまず実践すること ② まぶたの清拭(リッドハイジーン)と「しっかり閉じる」まばたき
まぶたの清拭(リッドハイジーン)。まつ毛の根元に皮脂汚れや角質がたまると、マイボーム腺の出口を塞いでしまいます。
温罨法の後、ぬるま湯やまぶた専用のアイシャンプー・洗浄液を綿棒やガーゼに含ませ、まつ毛の生え際に沿ってやさしく拭き取ってください。一般的な洗顔フォームやシャンプーを直接目元に使うことは推奨されません。
目に入ると、かえって涙の膜を破壊してしまいます。
意識的な完全まばたき。画面作業中は1時間に1回、次の動作を10回繰り返してみてください。
力を抜いて自然に目を閉じます
2秒間そのままキープします(この2秒が極めて重要です)
さらにキュッと強めに一度閉じます
目を開けます
これに加えて、20分ごとに20秒間遠くを眺める習慣をつける、画面を目線より下に配置して目の露出面積を減らす、室内の湿度を保つ、エアコンの風向きを調節するなどの対策を組み合わせると効果的です。
こうした環境や習慣の改善は地道な作業ですが、ここを怠ると他の治療を行っても効果が長続きしません。
7. 目薬は何を基準に選ぶべきですか?
目薬を使うなという意味ではありません。
症状を和らげる基本的な治療法であり、今後も使い続けていただいて問題ありません。ただし、以下の点にご注意ください。
① 1日に4〜6回以上点眼する場合は防腐剤の有無を確認してください。
多くの点眼薬には、防腐剤としてベンザルコニウム塩化物(BAK)が含まれています。
眼科用製剤の約70%で使用されている成分ですが、角膜や結膜の上皮細胞に毒性を示す濃度は約0.005%と推定されており、7日間程度の短期間の使用でも異常が報告されています
(Goldstein MHら, Eye, 2022)。頻繁に点眼する方ほど、防腐剤フリーの使い切りタイプ(1回使い切り)が安全です。
② 油分が含まれた点眼薬もあります。
蒸発型の場合は、水分のみを補給する製品よりも、脂質(オイル)を含む点眼薬のほうが適している場合があります。
ただし、さした後に少し重く感じたり、一時的に視界が白っぽくかすんだりすることがあり、個人差があります。
③ 点眼する前に「守る」ことが先決です。
目薬をさすだけのケアは、底に穴の開いた器に水を注ぎ続けるようなものです。器の穴を塞がなければ、いくら注いでも満たされません。
8. オメガ3のサプリメントは効果がありますか?
非常によくいただくご質問です。
エビデンスをありのままにお伝えすると、期待されているほどの劇的な効果は実証されていません。
米国でドライアイ患者535名を対象に、オメガ3 3,000mg(EPA 2,000mg + DHA 1,000mg)群とオリーブオイルのプラセボ群に無作為に割り付け、12か月間比較した大規模臨床試験(DREAM試験)において、自覚症状スコアの改善はオメガ3群が13.9点、プラセボ群が12.5点であり、両群間に統計的に有意な差は認められませんでした
(Asbell PAら DREAM Study Research Group, New England Journal of Medicine, 2018)。
その後の延長研究でも同様の結論が得られています。
だからといって「絶対に飲むな」ということではありません。
オメガ3は他の健康目的で摂取されることもありますし、個人差により効果を実感される患者様もいらっしゃいます。
ただし、「オメガ3を飲んでいるから他のケアは不要」と考えてしまうと、本当に必要な基本のケア(温罨法やまぶたの清拭、環境調整)がおろそかになってしまいます。
9. 眼科では何を確認しますか?

「目が乾いていますね」で終わってしまう診療では意味がありません。どちらのタイプの乾燥なのか、まぶたがどのような状態なのかを精密に診断して初めて、適切な治療プランが定まります。
① 問診 — いつ悪化するのか、目薬の効果はどれくらい持続するか、服用中のお薬(抗ヒスタミン薬、一部の降圧薬、抗うつ薬、ニキビ治療薬などは乾燥を悪化させることがあります)、コンタクトの使用状況、手術歴、口や関節の症状まで詳細に確認します。
② 細隙灯顕微鏡検査 — 最も重要な検査です。まぶたの縁のマイボーム腺の出口が詰まっていないか、圧迫した際に出る油が透明か歯磨き粉のようにドロッとしているか、まつ毛の根元に角質がないかを直接観察します。
③ 涙液層破壊時間(BUT検査) — まばたきをした後、涙の膜が壊れるまでにかかる時間を測定します。10秒未満の場合は涙の膜が不安定であると判断します。
④ 涙液分泌量検査(シルマー検査) — 涙の分泌量そのものが不足しているかどうかを確認します。
⑤ 角結膜染色検査 — 目の表面がどの程度傷ついているかをグレード評価します。自覚症状の強さと実際の傷の程度が一致しないことも多いため、この検査で客観的にバランスを見極めます。
⑥ 必要に応じた追加検査 — 眼瞼炎やアレルギー、感染症の合併がないか、涙道が詰まっていないか、結膜のたるみによって涙がたまらなくなっていないか(結膜弛緩症)などを確認します。
ドライアイは一度診断して終わりの病気ではなく、状態を追跡しながらコントロールしていく慢性疾患です。だからこそ、初診時にしっかりとした基準を作っておくことが大切です。
10. IPLはどのような場合に検討しますか? — そして何がまだ不確実ですか?

IPL(Intense Pulsed Light)は、もともと皮膚科で赤ら顔や血管病変の治療に用いられていた特殊な光治療器を、まぶた周辺に応用した治療法です。
目の周囲の皮膚に短時間の強力な光を照射することで、
① まぶたの温度を上昇させて固まった油を溶かし、
② 炎症を引き起こす微小な異常血管を減少させる効果を狙います。
施術後には通常、まぶたを専用器具で圧迫して詰まった油を押し出す処置を併せて行います。研究で一般的に用いられているプロトコルは、2〜4週間間隔で4回の施術です。
確認されている効果
無作為化比較試験13件、計875名を対象としたシステマティックレビューにおいて、IPL群は無治療群と比較してドライアイ自覚症状スコア(OSDI)を16ポイント改善させました(95%信頼区間 12〜20ポイント)。
研究チームはこの結果の確実性を「中等度」と評価しています
(Peira Nら, Acta Ophthalmologica, 2024)。
客観的な検査指標においても改善が確認されています。
米国の3施設で中等度以上のマイボーム腺機能不全患者82名を対象に実施された無作為化比較試験において、2週間間隔で4回施術を行った後、涙液層破壊時間が2.0秒延長し(対照群は0.75秒、P<0.01)、マイボーム腺分泌スコアは18.5ポイント改善しました(対照群は5.2ポイント、P<0.0001)
(Toyos Rら, PLOS ONE, 2022)。
まだ不確実な点 — ここを必ず正しくご理解いただく必要があります
従来の標準治療に「上乗せ」したときの追加効果は限定的で、不確実性があります。同レビューにおいて、標準治療にIPLを追加した場合の症状スコアの改善幅は7ポイントにとどまり(95%信頼区間 3〜12ポイント)、研究チームはこの結果の確実性を「非常に低い」と評価しました。実際の診療においてIPLは、点眼薬や温罨法に取って代わるものではなく、それらにプラスして行う治療法であるため、患者様にとってより重要な指標はこちらの数値となります。
症状の改善が施術そのものによるものかどうかが明確でない研究もあります。先ほどご紹介した82名の研究では、客観的指標は顕著に改善したものの、自覚症状スコアはIPL群・対照群ともに25.9ポイントずつ改善し、有意差がありませんでした(P=0.9984)。これは、まぶたの油を押し出す処置や日常のケア自体の効果、そしてプラセボ効果が相当に大きいことを意味しています。
効果は永久ではありません。マイボーム腺機能不全は慢性的な疾患であり、施術を受けた後も温罨法やまぶたのセルフケアを継続しなければ、再び元の状態に戻ってしまいます。定期的なメンテナンス施術が必要となる場合があります。
すでに萎縮してしまったマイボーム腺が再生するかどうかは立証されていません。温熱治療後に分泌腺の構造が一部回復したという後ろ向き研究の報告はありますが、改善の度合いは小さく、研究デザイン上の限界もあるため、確定的な結論を出せる段階ではありません。現時点では「今残っている分泌腺を守り、維持すること」が治療の目標であると捉えていただくのが正確です。
副作用について。前述のレビューで報告された有害事象は、一時的な刺激感、痛み、熱感、発赤程度であり、重篤なものはありませんでしたが、安全性に関するエビデンスの確実性も「非常に低い」と評価されています。稀に水ぶくれ、色素沈着・脱失、まつ毛の脱毛、適切な眼球保護を怠った場合の眼球損傷などが報告されています。
施術を受けられない方、または慎重な判断が必要な方
▶ スキンタイプが濃い方(フィッツパトリック分類5〜6型)は、色素沈着や火傷のリスクが高いため推奨されないか、極めて慎重な照射が必要です
▶ イソトレチノイン(ニキビ治療薬)、テトラサイクリン系抗生物質など、光線過敏症を引き起こしやすい薬剤を服用中の方
▶ 妊娠中・授乳中の方
▶ 照射部位に皮膚感染症や活動性の皮膚疾患がある方、最近強い紫外線を浴びた・日焼けをした方
▶ 照射部位にタトゥーやアートメイクがある方、光線過敏を伴う自己免疫疾患をお持ちの方
▶ 施術後少なくとも4週間は徹底した紫外線対策が必要です
総括しますと、IPLはマイボーム腺機能不全をお持ちの方が、目薬・温罨法・まぶたの清拭を十分に継続してもなお症状が残る場合に、次のステップとして検討する治療法です。
最初からいきなり行うファーストチョイスではありません。当院ではルミナス社製のM22を導入しており、精密検査でマイボーム腺の状態を的確に把握した上で、施術の適応を総合的に判断いたします。
11. ドライアイではない可能性もあります
この記事の中で最も重要なポイントかもしれません。
「目がゴロゴロする、乾く」という言葉の裏には、ドライアイ以外の疾患が隠れていることが少なくありません。
▶ アレルギー性結膜炎 — 乾きよりも痒みが強く出ます。目をこすってしまい、白目がゼリー状に腫れることもあります。季節性があるのが特徴です。
▶ 眼瞼炎 — マイボーム腺機能不全と表裏一体の病態です。まぶたの縁が赤くなりフケ状の汚れがたまります。まつ毛ダニ(デモデックス)が関与しているケースもあり、その場合は治療方針が異なります。
▶ 流行性角結膜炎(はやり目)の後の慢性的な乾燥 — 角膜に残った濁りや結膜のダメージにより、数か月間にわたって乾燥感が続くことがあります。
▶ 結膜弛緩症 — 白目の粘膜(結膜)がたるみ、涙がたまるスペースを塞いでしまうため、涙が出ているのに乾きを感じます。ご年配の方に多く見られます。
▶ 薬剤性ドライアイ — 抗ヒスタミン薬、一部の利尿薬・降圧薬、抗うつ薬、ニキビ治療薬、緑内障点眼薬の防腐剤などが原因となる場合があります。
▶ 全身疾患 — シェーグレン症候群、甲状腺疾患、関節リウマチなど。
▶ 視力矯正手術後の乾燥 — レーシックやラセック(LASEK)の後、角膜知覚神経が回復する過程で数か月間症状が出ることがあります。
特に、目の強い痛みや急激な視力低下を伴う場合、強い眩しさを感じる場合、濃い目やにが止まらない場合、片目だけが急激に悪化した場合は、ご自身でドライアイと決めつけず、速やかに眼科専門医の診察を受けてください。
12. よくある質問
Q. 目薬を頻繁にさすと、自力で涙が出なくなってしまいますか?
そのようなことはありません。目薬に依存性が生じて涙の分泌能力が落ちるという医学的根拠はありません。ただし、1日に4〜6回を超えて頻繁に点眼される場合は防腐剤による角膜障害が懸念されるため、防腐剤フリーの使い切りタイプに変更されることをおすすめします
(Goldstein MHら, Eye, 2022)。
Q. 温罨法と目薬はどちらを先に行うべきですか?
両方行っていただくのが理想的ですが、それぞれ役割が異なります。目薬は「今ある不快感を一時的に和らげるもの」、温罨法やまぶたの清拭は「原因そのものにアプローチするもの」です。目薬の回数だけを増やしても症状は一時的にしか治まらず、マイボーム腺の詰まりは改善しません。
Q. IPLは何回受ける必要があり、効果はどのくらい続きますか?
臨床研究で一般的に用いられているプロトコルは、2〜4週間間隔で計4回です。ただし、マイボーム腺機能不全は慢性疾患であるため、施術を受ければ「完治して終わり」というわけではなく、その後もご自宅での温罨法やまぶたのケアを継続していただくことで良好な状態が維持されます。個人差により定期的なメンテナンス照射が必要となる場合もあれば、十分な効果を実感できない方もいらっしゃいます。
Q. 私はIPLを受けられますか?
肌の色が濃い方、光線過敏を高めるお薬(イソトレチノインやテトラサイクリン系抗生物質など)を内服中の方、妊娠中・授乳中の方、施術部位にタトゥーや活動性の皮膚疾患がある方、最近強い日焼けをされた方は、施術が受けられないか慎重な適応判断が必要です。診察時に内服薬やお肌の状態を医師にお伝えください。
Q. レーシックやラセックの後に生じたドライアイも同じ方法でケアできますか?
基本的なセルフケアは共通ですが、根本的な原因が異なります。屈折矯正手術後のドライアイは角膜の神経が修復される過程で生じるため、時間の経過とともに自然軽快することが多いです。ただし、手術前からマイボーム腺機能不全があった場合は、術後の不快感がより強く長引きやすいため、手術前にあらかじめまぶたの状態を確認し、ケアしておくことが推奨されます。
Q. ドライアイは完全に治す(完治させる)ことができますか?
大半のドライアイは「完治させる病気」というよりも「上手にコントロールしていく体質や状態」です。高血圧や糖尿病のように、良好なコントロールを維持することがゴールとなります。このように聞くと残念に思われるかもしれませんが、この前提を最初にご理解いただいた患者様のほうが、結果として長期的に非常に快適に過ごされています。反対に「1回で完全に治る魔法の方法」を求めて病院を転々とされると、適切なセルフケアが中断してしまいがちです。
Q. 部屋の湿度は何%くらいが良いですか?
室内の湿度は40〜60%程度に保つのが一般的な推奨値です。ただし、湿度を上げるだけで万事解決するわけではありません。エアコンの風が直接顔に当たらないよう風向きを調節することのほうが、湿度計の数値よりも実感としての改善度が大きいケースが多々あります。
目の健康に関するより詳しい情報は、聖母ジン眼科のYouTubeチャンネル「チン眼科(本物の眼科)」でも分かりやすくお届けしております。
おわりに
ドライアイは誰にでも起こりうる身近な症状であり、危険な病気ではないことが大半ですが、日々の適切な管理によって劇的に快適な状態へと導くことができます。
最後に、大切な3つのポイントを心に留めておいてください。
1つ目、目薬をさしてもすぐに乾いてしまうなら、涙の量ではなく「油の層」のトラブルを疑うこと。
2つ目、温罨法は40〜47℃で、2分おきに温め直しながら、最低でも4〜8週間は毎日継続して効果をみること。
3つ目、IPLなどの専門治療は、日々の基本的なセルフケアをしっかり行った上で検討するステップであり、最初の選択肢ではないこと。
新しい目薬を買い足す前に、まずは一度ご自身のまぶたの状態を専門医に診てもらうことをおすすめします。
「マイボーム腺はきれいで詰まっていませんよ」と確認できるだけでも、次に取り組むべき対策が明確になります。
気になる症状やご不安な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
聖母ジン眼科
ソウル特別市瑞草区江南大路337(瑞草洞 1329-10)
江南駅5番出口より徒歩5分 ・ ビル内無料駐車場完備
診療時間
平日 09:00 〜 18:00(昼休み 13:00 〜 14:00)
土曜 09:00 〜 15:00(昼休みなし)
日曜・祝日 休診
電話番号 02-577-7782
※ 本記事は一般的な医療情報の提供を目的として作成されており、個別の患者様に対する診断や治療の代わりとなるものではありません。引用された数値は対象研究における平均値であり、患者様個人の目の状態、内服薬、生活環境等によって効果や経過は異なります。すべての治療には限界や副作用のリスクが存在するため、施術の要否は必ず精密検査の結果に基づき、眼科専門医と十分にご相談の上ご決定ください。
[参考文献]
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